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JACRACとヤマハ音楽教室と著作権の問題
日本音楽著作権協会(JASRAC)と音楽教室大手・ヤマハ音楽振興会との間で著作権に関するトピックスがあります。
そこで今回はその問題の要点と著作権について考察します。
そもそも著作権って?
そもそも著作権とは何なのかを簡単に紹介します。
著作権とは、自分(権利者)が創った作品の権利を保証し、保護するためのものです。
例えば、自分が創った曲をCDにして販売しているのに、動画再生数を稼ぎたいどっかの誰かさんがその楽曲を勝手にアップしたら困ります。
そのための保護の範囲や手続きをまとめた法律が著作権法であり、著作権とは申請などする必要はなく、作品を創出した段階で発生する権利なのです。
JASRAC(ジャスラック)について
JASRAC(ジャスラック)とは、日本音楽著作権協会のことであり、当協会が管理している楽曲の著作権を管理する団体です。
本来、音楽を再生したり演奏したり、楽譜を掲載するには作詞者・作曲者・音楽出版社などの権利者から許可を取らなければいけません。
しかし、いちいち権利者を探し出し許可を取って利用料を払っていたのでは大変です。
そのため、利用者と権利者の著作権に関する手続きの一括窓口となっているのがJASCRACなのです。
ヤマハ音楽教室について
ヤマハ音楽振興会とは、日本国内に数多く拠点を持つ子供から大人向けの音楽教室である「ヤマハ音楽教室」を運営している会社です。
なんと日本国内に3,700の会場があり、生徒数はなんと43万人というまさしく国内最大級とも言える音楽教室です。
教室での演奏は著作権侵害?
今回発生した著作権に関する出来事というのは、JASRACが音楽教室から著作権料を徴収する方針を決めました。
それに対し、音楽教室であるヤマハ音楽振興会側が「教室での演奏は著作権が及ばない」⇒「著作権を払う必要はない」という確認の訴訟を東京地裁に起こすというものです。
音楽の著作権というのは、公衆に聴かせることを目的として上演しなければ、著作権(演奏権)に該当しないという規定があります。
今回の出来事は、音楽教室の授業で音楽を再生・演奏することが、その演奏権に該当するかどうかが焦点になると思われます。
演奏権に該当すると言っているのが「JASRAC」、あくまで技術向上のための練習であり、「公衆に聴かせる」ことを目的としていないというのが「ヤマハ音楽教室」の言い分です。
世間ではJASRACへの批判が集まる
この争いの結末というのは、結局ヤマハ音楽教室側が東京地裁に提訴して、裁判の結果を待つしかないありません。
しかし、世間ではJASRACへの批判の方が多いようです。
その理由として「JASRACは本来の著作権者(作曲者やアーティスト)に適正に還元しているのか」、「そもそも今回発表した受講料収入の2.5%って、根拠が不明だし高すぎる」といったものです。
前者は言いたいことは分かりますし、そこはしっかりしたものであってほしいと願うばかりですが、これは今回の問題とは直接関係がありません。
しかし、JASRACが著作権の収入源を増やすことに対して、著作権者を守るよりもよりお金を取るつもりで今回の使用料規定を策定したというイメージが強いのは事実のようです。
後者に対しては、確かに結構高額であると個人的には感じましたね。
例えば、ヤマハ音楽教室で下記のような仮定で考えてみます。
・生徒数:43万人
・コース:ジュニアスクール 基礎コース ステップ1
・レッスン時間・回数:グループレッスン60分/月3回
・レッスン料:¥6,500/月
・受講料収入:¥6,500/月×430,000= ¥2,795,000,000(約28億円)
・著作権料:28億円×0.02=¥56,000,000/月 <年額>¥672,000,000
なんとヤマハ音楽教室だけで6億を超える金額を毎年徴収することになります。
これはあくまでヤマハ音楽教室に限った話なので他の音楽教室も含めれば、10億は軽く超えていくものと想像できます。
個人的にはヤマハ音楽教室を応援したいが・・・
自分は法律家という訳でもありませんし、著作権に精通している訳でもありません。
そのため、今回の件がどのように転ぶかは分かりません。
しかし、あくまで個人的にはヤマハ音楽教室を応援したい気持ちはあります。
自分も音楽教室に通っていましたが、そこで流れる音楽をリスナーとして聴いた記憶はありません。
ひたすら自分の技術向上のために聴き、それに合わせて練習していました。
それ故に「公衆に聴かせることを目的」とはしておらず、さらにそれを再生・演奏することでの売り上げ向上を意図しているものではないと感じているからです。
それで音楽教室が値上げなどを行ってしまえば、生徒数が減ってしまうことも考えられます。
ただでさえ、良いニュースの少ない音楽業界において、その未来を担う可能性が十分にある生徒の母数を減らすことは、嬉しいことではありません。
とはいえ法律的に音楽教室での再生や演奏が著作権侵害に該当するのであれば、著作権者の手前にいる著作権管理団体に使用料を払わなければならないのは当然とも言えます。
くれぐれも公正な裁定を希望しつつ、過程を注視していきたいと思います。
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